妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

 どうしても、と言うなら……私は要求に応えるべきなのだろうか?

 いや、でも――でもでもでも!!

「キ、キスをしたこともないのに口移しはその……難しいわ……」
 蚊の鳴くような声で訴える。と。

「――ふっ」
 突然、堪えきれなくなったかのようにリュオンが噴き出した。

「いてっ。怪我してるっていうのに、っく、駄目だ、無理……」
 彼は右腕で腹を抱えて笑っている。

 やっとそこで単なる冗談だったのだと悟り、私の顔はみるみるうちに赤く染まった。

「~~~~~っ!! リュオンの馬鹿ぁっ!!!」
 私は涙目になって叫んだ。