妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

 いや、食事介助も看病のうちだ。
 決してやましいことではない。
 ユリウス様からも励みなさいと命令を受けている。

 というわけで――

「あ……あーん?」
 私がスプーンを口に運ぶと、リュオンは餌を待っていたひな鳥みたいに口を開けてすりおろしたリンゴを頬張った。

「美味しい」
 だから、なんで、そんな無邪気な顔で笑うのか。
 心臓に悪いのでその笑い方は止めて欲しい。

「次は?」
 私が内心で頭を抱えているとも知らず、リュオンは催促してきた。

 実は元気なのではないだろうかという疑惑が頭を過るけれど、リュオンの体調が悪いのは一目瞭然。

 彼は上半身裸で、包帯を巻いている状態だ……いや、よく考えるとあなた、凄い格好ですね?

 引き締まった鋼のような筋肉。うっすらと割れた腹筋。
 見てはいけないのに見てしまう。

 一応これでも伯爵令嬢だったので、自分より年上の男性の裸を見る機会などそうそうあるものではない。私の頭と心臓はもはや爆発寸前だ。