妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る

 魔女とは魔力を持った者の総称。

 遠い昔、創造神オルガは「相互扶助の精神を持って、良き隣人となりなさい」と唱えて人間と魔女を作ったという。

 混血を繰り返すうちに女性だけではなく男性の魔女も生まれるようになったけれど、男性の魔女は非常に珍しい。

 私自身、人生で男性の魔女に会ったのはこれで二回目だ。

 偶然にも、初めて男性――正確には年端も行かない男の子の魔女に会ったのは八年前、このロドリー王国の王都でのことだった。

 男性の魔女の魔力は大抵が平均値を保つ女性に比べて極端に高いか低いかのどちらかだ。

 視線を落として確認してみれば、彼が首に下げている金のペンダントは魔女の最高位『大魔導師』を表していた。

「…………!!」
 私は今度こそ、極限まで目を剥いた。

 凄い! 
『大魔導師』の称号を持つ魔女は国内にたった三人しかいないのに、まさか会える日が来るなんて!!

 でも、なんでこんなところにいるんだろう?

『大魔導師』たる魔女なら王宮仕えをしていてもおかしくないけど、街の有力者にでも仕えているんだろうか?

 王侯貴族や富豪は一種のステータスとして魔女を側に置く者が多い。
 事実、私の主人も一人の魔女を仕えさせていた。

 けれど、彼が何者かなんてことより大事なのは彼の発言。
『ぶつかった』ということは、彼が犯人で確定。