五感を研ぎ澄ませ! ~旧校舎で踊る火の玉事件~


「おい、何か言えよ」

 野崎くんに低い声で言われ、ハッと我にかえる。
 僕は……ふいに、彼らのことを思い出した。

 気を張らずマイペースに付き合ってくれる水野くん。
 無邪気に友だちになれて嬉しいと言ってくれる火和くん。
 素直じゃないのに、蒼ちゃんと呼んでくれる金泉くん。
 そして誰より先に、ためらいなく僕を必要としてくれた天土くん。

 ――彼らに恥じる自分ではいたくない、なんて。
 そんな気持ちがフツフツと込み上げる。
 だけどこんなこと、恥ずかしくて口が裂けても言えないな。

「おい、木戸。無視するなんていい度胸……」
「一緒にしないで」
「……は?」
「僕は僕なりにずっとがんばってきたんだ。そんな僕を仲間にしたいって言ってくれる人たちもいる。君たちとはちがって、ちゃんと自分の力でがんばってる人たちだよ。仲間になるなら僕はそういう人たちの方がいい。君たちとは、仲間にならない」

 急に話し出した僕に一瞬気を取られた彼らは、次の瞬間には顔を真っ赤にした。

「お前、今の立場わかってんのか?」
「なめやがって……! やっちまえ、今井」
「ああ!」

 今井くんがライターを近づけてくる。
 僕はぎゅっと目を閉じて――。

「でりゃあああああ!」
「ぎゃあ⁉」
「な、何だ⁉」
「……?」

 誰かの大声、それから焦った今井くんと野崎くんの声。
 おそるおそる目を開けると、今井くんが痛そうに手を押さえていた。
 僕の広い視野は、離れたところにライターと野球ボールが転がっているのを見つける。

 ……野球ボール?

 それから、急いでこちらに駆け寄ってくる影――。