『お前、気持ち悪いよ』
『またズルしたんじゃねーの?』
『それ以上こっち見ないで!』
小学生のころ、ぶつけられた言葉がよみがえる。
はじめはドッジボールだった。
見えないはずのボールを避け続けたところから、「すごい」「なんでわかるの」なんて驚かれて。
散々はやし立てられて、そのときの僕は愚かにもヒーロー気分になってしまった。
調子に乗った僕は、その目をフル活用した。
体育でもそれなりに活躍できたし、なくしものを見つけたりするのにも一役買った。
それから――クラスの子が盗みを働いたときも、気づいて、指摘できた。できてしまった。
その犯人がクラスの中でも目立つ子だったから、余計良くなかった。
『本当に見えたって言うの? あんた、おかしいんじゃないの?』
『木戸の前だとウソついてもバレるんだって……』
『なんか、怖い……』
悪いことを悪いと指摘しただけのはずなのに、なぜか、僕の方がおかしなヤツだとウワサされるようになったのだ。
そのころからみんなの僕を見る目が変わり始めた。
ただ便利なだけじゃない。時には自分たちを害する存在かもしれない。
そういう、僕を「良くないもの」として見てくるのが……皮肉にもこの目だからこそ僕にはありありとわかった。
積極的にいじめられたりしたワケじゃないけど、それからの僕を取り巻く空気は明らかに異質だった。
僕と目が合うとそらされる。離れていく。みんなが見るなと全身で訴えかけてくる。
だから……これ以上波風を立たせないように、余計に勉強にのめり込むようになったんだけど……それすら面白くないと思う人たちがいたようで。
成績が一番になったら、「その目でカンニングしたんじゃないのか」なんて言いがかりをつけられるようになってしまった。
僕はただ、必死に勉強しただけなのに。
これ以上気持ち悪いと思われたくなくてがんばっただけなのに。
どうして上手くいかないんだろう。
