嘘から始まる恋煩い!


………え?

・・・。

「えっと聞き間違いじゃなければいいんだけど………、桐山がわ、私を?好き?」
私が今言われたことを必死に噛み砕きながらそう尋ねると、桐山は珍しく頬をほんのりと赤く染めていた。
でも真剣な顔は崩されていなくて、ドギマギしてしまう。
「うん。俺、雨音が好き。ねぇ、俺じゃダメ?」
「え………。」
唖然としすぎて突っ立っている私に、桐山はなんとも言えない表情を浮かべた。
それは私の反応に対する悲しみと、自分に対する嘲笑と………それと希望が混じった顔だった。
桐山のこんな表情を見たことがない私は、思わず彼を凝視したまま黙ってしまう。
そんな私を見かねて、彼は続けた。

「でもさ。すぐに否定しないってことは……まだ希望は持っていいんだよね?」
「ぇ…………?」
どうしよう、さっきからえ、しか言ってない気がする。
即答できない私に対して、桐山はゆっくりと近づいてくる。
ただでさえ狭いところだから、私が後ずさるとすぐに壁に背中がついてしまった。