嘘から始まる恋煩い!(前編)

「すぅ……すぅ……。」
色々な感情がぐちゃぐちゃになって、いつの間にか食べ終わった機内食。
気づけばそれは回収されていて、飛行機の中の照明が変わっていた。
この飛行機は12時間フライトをするので、途中で寝る人も結構いるだろう。
明るかった照明は暗いブルーになっていて、隣の雨音は穏やかな寝息をたてていて眠っていた。
俺も寝ようと思うのだが、どうも目がさえてしまって眠れない。
俺は不眠の原因となる人物をジト目で見ながら、はぁとためいきをついた。

そのままジッと、雨音の寝顔をぼんやりと見つめる。
窓も最大限暗くなっていて、本来昼のはずの空は夜空のように紺碧に染まっていた。
そのせいか、いつもより儚げな雰囲気を醸し出していて、俺は思わず胸を高鳴らせた。

と、そのとき。
「ん、ぅん……?」
「……っ!」
パチッ、と。
俺は突然のことに目をそらすこともできず、眠たげな雨音とバッチリ目が合った。
どうやらしばらく寝ていたからいったん目が覚めたらしい。
でも、ただでさえ今雨音のことで心の中が不安定なのに、こんな無防備な雨音を見ていたら気がおかしくなる……っ。
雨音はまだ寝ぼけ眼で、状況の理解があいまいなまま俺の顔をジッと見ていた。
その瞳に、どんどん俺の鼓動は速くなっていく。
俺はさっきのこともあって、我慢を利かせられなくなってしまった。
「ん……きりや、ま?私寝ちゃってて……っ⁉」