嘘から始まる恋煩い!(前編)

そんなことをのんきに考えていると、雨音が少し言葉をつまらせていたのがわかった。
「……っ、そ、そっか。ありがとう。」
その様子を見ていて、俺の心の中で何かが弾ける音がした。
(……少しは、期待してもいいのかな。)
期待すると、叶わないとわかったときにどうしようもなく虚しく感じてしまうから、こんなこと考えたくないのに。

俺が告白してから、彼女の態度はあからさまに変わった。
俺がストレートに好きって伝えたりすると、顔を赤くしてくれるし、少し嬉しそうにしている。
でもそれは、俺が好きだからじゃない。
………「自分を認めてくれる人がいることに対する喜び」だ。
雨音のことを見ていたらわかる。
近くで……ずっと近くで見ていたからこそ、彼女の俺に対する反応は手に取るようにわかる。
俺を見るその瞳に、俺と同じ熱はない。
彼女が焦がれるほどの熱を持って見ている先は……アイツだ。
気づきたくなかった。ずっと見て見ぬフリをしていたかった。
だけど、今の彼女の反応を見てしまったら嫌でもわかる。
「私のことを好きになってくれて嬉しい。でも、私はその思いには応えられない……」と言われている気がするんだ。
なぜか気まずくなってしまって、俺は静かに鶏肉を口に運ぶ。

おいしくて、いつも楽しみだったはずの機内食の味は、なぜかしなかった。