嘘から始まる恋煩い!

『…………なんでこんなにできないの?』
『もっと上を目指せ。お前ならできるはずだ。』

………ここはどこ?
私の周りの世界は、暗くて、まるで深海のように未知な場所だった。
『あなたはダメ。使い方を間違えるかもしれないから。』
『甘えるな。これなんてできて当然のことだ。』
どこかから聞こえてくる声は、どこかくぐもっているけど、聞いたことのあるような言葉。

『雨音さんって調子乗ってるよね〜。だっていっつも男子といるじゃん?』
『それな!ちょっと顔がいいからって、何なのあの子!マジムカつく〜。』
『え〜でもあの子、スマホ持ってないよね?』
『そうそう!それなのにあんなにチヤホヤされちゃってて何様?お姫様気取りかっつーの!』
………ああ、もしかしてここって………。
聞こえる声は、どれも悪意や嗜虐を含んだものばかり。
ふとあたりを見回すと、そこは完全に紺碧の世界だった。
冷たくて、真っ暗で、何も見えない…………。
夜の世界だ。

『姉ちゃん!』
あ、この声って………世那?
『おれは、姉ちゃんの味方だから。』
ああ、私にこう言ってくれるのって世那しかいなかったかも。
苦しいな………過去の世界だ、ここは。
意識はふわふわとしていて、前後左右の区別がつかない。
終わりの見えない迷宮のような場所に、私は不安になった。

寂しい、辛い、苦しい………。どこなのここは?私は今どうなっているの?

助けを求めても、誰も気づかないに決まっている。
それはわかっているけど、でも………。
お願い………誰かこの暗闇から、引っ張り出してよ………?