嘘から始まる恋煩い!

「じゃあ、バイバイ!気をつけて帰ってね。」
「あ、うん。じゃあな、そっちこそ。」
でも去り際に見た彼女が、ほんの少しだけ、別れを憂いているように見えたのは、俺の都合のいい解釈……だったのかな?

家に帰ってリビングに入ると、有名なテレビゲームをしている弟がいた。
「楓(かえで)!お前、風邪は………?」
楓は、小学6年生の弟。
最近段々生意気になってきたのを見て、数年前の俺もこうだったのかと思ってしまう。
「えぇ?母さんのお粥食べたらもうばっちり。ってか、兄ちゃん、今日なんか嬉しそうじゃねー?なんかあったの〜?」
器用にコントローラーをさばきながらゲームをプレイしている弟は、ちょっとニヤニヤした顔で付け足した。
「例えば………彼女とか?」
「なっ!」
俺とどこか似た面影を感じさせる楓が、なぜか今は恐ろしく見えた。
こわ………、なんで勘が鋭いんだよ?
彼女じゃないけど色恋沙汰なのは確かだ。
だけどここで動揺しているとあとでからかわれるのが目に見えているので、俺は弟と同じくムカつくくらいの笑みを浮かべてやった。
「俺のことより自分のゲームに集中すれば?ほら。」
俺がテレビを指差すと、楓は絶叫した。
「ああ〜!せっかくいいとこまで行ったのに!」
そんな様子をどこか微笑ましく見ながら、俺は心の中で呟いた。

………もし雨音が彼女になったら、絶対楓に報告してやる。