嘘から始まる恋煩い!

その笑顔に、今日何度目か忘れたあの胸のざわめきを覚えたけれど、私はあることを思い出した。
別れの時間も近いし、私はちょっと緊張したけれど、アレを渡すことにする。
「あ、あの………、五十嵐、これ今日のお礼。どうぞ。」
私はおそるおそるカバンから小さくラッピングされた袋を取り出して五十嵐に差し出した。
「え、嘘、ありがとう。中身見てもいい?」
「うん。」
うぅ、こういうことってないからどういう反応をすればいいのかわかんないよぉ。
五十嵐が取り出したものは、あのさっきのハンカチ。

「………!雨音、すっごい嬉しい。実は俺、これが気になっていたんだけど、あまりお金がなくて買えなかったんだ。」
「そっか、気に入ってもらえてよかった。」
「絶対大事に使うから!」
「うん、よろしく〜。」

ふと降りたのは、逃走中のときにもあった、あの心地よい沈黙。
どうしてだろう………。
なぜか、別れるのが寂しい。
五十嵐はどうなのかな。
チラッと彼を盗み見ると、彼はいつものあの読めない表情に戻っていた。
それを見て私もハッとし、どこか名残惜しい思いに蓋をして、五十嵐に手を振った。
「じゃあ、バイバイ!気をつけて帰ってね。」
「あ、うん。じゃあな、そっちこそ。」