熟睡できたわけではないけれど、ほんのちょっとだけ、心地の良い眠りだった。
そう思ったのに、やっぱり翌日も、眠れなかった。
昼間、わたしはずっと考えていた。
生きていることに、意味があるのだろうか、と。
大げさに聞こえるかもしれない。
でも本当にそう思っていた。
学校に行けない、絵も描けない、友達もいない……。
毎日、ただ部屋で天井を見ている。
それの何が、生きていることなんだろう。
誰かの役に立っているわけでも、何かを成し遂げているわけでも、楽しいことがあるわけでもない。
ただ、呼吸しているだけだった。
呼吸しているだけで、いいのだろうか。
……その呼吸でさえ、苦しく感じているのに。
答えはもちろん出なかった。
出るはずもなかった。
ただその問いが、天井に向かってぐるぐると回っていた。
夜になると、またバスターミナルへ行った。
七番ベンチに、また男の子がいた。
昨日と同じ場所に、同じ姿勢で座っていた。
わたしはまた六番ベンチに座った。
男の子はわたしを見なかったし、わたしも男の子を見なかった。
ただ、昨夜のように同じ夜の中にいた。
その夜、男の子が口の中でつぶやいていた。
三十二、三十三、四十……数字だった。
何を数えているのかわからなかった。
でもその声が、夜の静寂の中に溶けていく感じが、なぜか耳に心地よかった。
帰り道、空を見上げると、星が見えた。
あの男の子は、あの星を数えているのだろうか、と思った。
どうして星を数えるんだろう。
数えきれるわけがないのに。
その疑問が、次の夜もバスターミナルへ足を向かわせた。
三日目の夜も、男の子はいた。
わたしは今夜も六番ベンチに座った。
男の子はスケッチブックに何かを描いていた。鉛筆の先が月明かりに光っていた。
声をかけようかと思ったけれど、やめた。
この静けさを、壊したくなかった。
言葉が入ってきたら、何かが変わってしまう気がしたから。
今のままでいたかった。
誰でもない、この場所にいるだけの誰かで。
昼間の問いが、また頭に浮かんだ。
生きていることに、意味があるのだろうか。
でもバスターミナルにいると、その問いが少しだけ遠くなった。
答えは出ないけれど、ここにいる間は、問いに飲み込まれずにいられた。
彼がいるから、かもしれない……と思った。
この人も、夜中に一人でここにいる。
理由は知らない。
でも、わたしは一人じゃないような気がした。
同じ夜の中にいる、誰かがいる……それだけで、少し違った。
そう思ったのに、やっぱり翌日も、眠れなかった。
昼間、わたしはずっと考えていた。
生きていることに、意味があるのだろうか、と。
大げさに聞こえるかもしれない。
でも本当にそう思っていた。
学校に行けない、絵も描けない、友達もいない……。
毎日、ただ部屋で天井を見ている。
それの何が、生きていることなんだろう。
誰かの役に立っているわけでも、何かを成し遂げているわけでも、楽しいことがあるわけでもない。
ただ、呼吸しているだけだった。
呼吸しているだけで、いいのだろうか。
……その呼吸でさえ、苦しく感じているのに。
答えはもちろん出なかった。
出るはずもなかった。
ただその問いが、天井に向かってぐるぐると回っていた。
夜になると、またバスターミナルへ行った。
七番ベンチに、また男の子がいた。
昨日と同じ場所に、同じ姿勢で座っていた。
わたしはまた六番ベンチに座った。
男の子はわたしを見なかったし、わたしも男の子を見なかった。
ただ、昨夜のように同じ夜の中にいた。
その夜、男の子が口の中でつぶやいていた。
三十二、三十三、四十……数字だった。
何を数えているのかわからなかった。
でもその声が、夜の静寂の中に溶けていく感じが、なぜか耳に心地よかった。
帰り道、空を見上げると、星が見えた。
あの男の子は、あの星を数えているのだろうか、と思った。
どうして星を数えるんだろう。
数えきれるわけがないのに。
その疑問が、次の夜もバスターミナルへ足を向かわせた。
三日目の夜も、男の子はいた。
わたしは今夜も六番ベンチに座った。
男の子はスケッチブックに何かを描いていた。鉛筆の先が月明かりに光っていた。
声をかけようかと思ったけれど、やめた。
この静けさを、壊したくなかった。
言葉が入ってきたら、何かが変わってしまう気がしたから。
今のままでいたかった。
誰でもない、この場所にいるだけの誰かで。
昼間の問いが、また頭に浮かんだ。
生きていることに、意味があるのだろうか。
でもバスターミナルにいると、その問いが少しだけ遠くなった。
答えは出ないけれど、ここにいる間は、問いに飲み込まれずにいられた。
彼がいるから、かもしれない……と思った。
この人も、夜中に一人でここにいる。
理由は知らない。
でも、わたしは一人じゃないような気がした。
同じ夜の中にいる、誰かがいる……それだけで、少し違った。


