きみと描いた星空は、まだ消えない

十一月のある夜だった。

どうしても眠れなくて、気がついたら外に出ていた。

どこへ行くつもりもなかった。

ただ、部屋にいられなかった。

四角い天井が、だんだん狭くなってくる気がして、壁が近づいてくる気がして、息の仕方がわからなくなって……。

気がついたら夜の国道を歩いていた。

国道沿いのバスターミナルに、自然と足が向いた。

深夜のバスターミナルには、行き先のない人間が集まる気がした。

どこかへ行くためではなく、どこにもいられなくなった人間が。

わたしもそういう一人だった。

もしかしたら、物語が始まるように、そういう人のためにどこかへ連れて行ってくれるバスが来るのではないかと。

当たり前だけど、バスを待つような人はいなかった。

深夜の十二時を回っていたから当然だ。

物語が始まる様な展開なんか欠片もない。

自動販売機の光だけが白く浮かんで、発車の予定もないバスが一台、車体を暗闇に沈めていた。

コンクリートのにおいと、どこかから漂ってくる排気ガスのにおいが混じって、わたしはそれをぼんやり吸い込んだ。

家でも学校でもない、誰のものでもない空気が、なぜかほっとさせた。