でも蒼生に言われると、そうだ、と思った。
そういうことだったのかもしれない。
誰かの評価じゃなくて、わたしが見たものを、ただ形にしたかっただけだったのかもしれない。
「……そうかもしれない」
「じゃあ、やっぱり、やめなくてよかったのに」
蒼生は責めるでも励ますでもなく、ただそう言った。
わたしは何も言えなかった。
やめなくてよかった。
そうかもしれない。
でも、あのとき筆を置かなければよかった、と思うのは、あのときのわたしを責めるみたいで、できなかった。
ただ、その言葉はずっと耳に残った。
その夜から、わたしはなんとなく蒼生のことが気になり始めた。
気になる、という言葉では足りないかもしれなかった。
バスターミナルへ向かうとき、七番ベンチに蒼生がいるかどうかを確認するより先に、足が速くなる感覚。
話しているとき、蒼生の言葉がいつまでも耳に残る感覚。
ふとした瞬間に、蒼生の横顔が頭に浮かぶ感覚。
家にいる間も——ぼんやりしていると、決まって蒼生のことを考えていた。
今日は晴れているから、今夜バスターミナルにいるだろうか。
体調は大丈夫だろうか。
何か引っかかっていた。
でも何が引っかかっているのか、まだうまく言葉にできなかった。
帰り道のことを、何度も思い返した。
そういうことだったのかもしれない。
誰かの評価じゃなくて、わたしが見たものを、ただ形にしたかっただけだったのかもしれない。
「……そうかもしれない」
「じゃあ、やっぱり、やめなくてよかったのに」
蒼生は責めるでも励ますでもなく、ただそう言った。
わたしは何も言えなかった。
やめなくてよかった。
そうかもしれない。
でも、あのとき筆を置かなければよかった、と思うのは、あのときのわたしを責めるみたいで、できなかった。
ただ、その言葉はずっと耳に残った。
その夜から、わたしはなんとなく蒼生のことが気になり始めた。
気になる、という言葉では足りないかもしれなかった。
バスターミナルへ向かうとき、七番ベンチに蒼生がいるかどうかを確認するより先に、足が速くなる感覚。
話しているとき、蒼生の言葉がいつまでも耳に残る感覚。
ふとした瞬間に、蒼生の横顔が頭に浮かぶ感覚。
家にいる間も——ぼんやりしていると、決まって蒼生のことを考えていた。
今日は晴れているから、今夜バスターミナルにいるだろうか。
体調は大丈夫だろうか。
何か引っかかっていた。
でも何が引っかかっているのか、まだうまく言葉にできなかった。
帰り道のことを、何度も思い返した。


