きみと描いた星空は、まだ消えない

「そっか。じゃあ、今度は夜明け少し前に来て、蒼生と星が寝るのをわたしも見届けてみようかな」

「うん。それもいいと思うよ」


蒼生は、そう言って頷いた。

「待ってる」とも「一緒に見よう」とも蒼生は言わない。


「じゃあ、おやすみなさい」

「おやすみなさい」


いつものようにわたしはそう言って、バスターミナルを後にする。

歩き出して振り返ると、蒼生はわたしを見届けるわけでもなく、いつものように星空を見上げていた。

……いつから、星を数え始めたんだろうか。

少し離れた場所からその光景を眺めて、そんな疑問を持った。

相変わらず、絵本の挿絵のようだった。


帰り道、押し入れの奥のスケッチブックのことを考えていた。

今日はまだ、触れる気にはならなかったけれど、蒼生に心の闇を吐き出した事で、近いうちに触れられるんじゃないかって思った。


『描き続ければ、きっと世界は変わる』


何気なく彼が放った言葉は、わたしの中でいつまでも響いていた。

もしまた描ける日がきたとしたら、わたしはさっきの蒼生の姿を描いてみたい。

バスターミナルの七番ベンチに座って、夜空を見上げて星を数える蒼生の姿は、ただただ純粋な姿で。

きっと誰も汚す事のできない、聖域なんじゃないかって思う。