「こちらをどうぞ」
「うわぁ、制服の予備!? すごいね、こんなのも準備してあるんだ」
「お嬢様を困らせるわけには参りませんので」
むしろ、その件は僕の方が驚いているというか。
恐らくは、スミスさんによる準備なんだとは思う。
セバスチャンさんとアルフレッドさんだけだと、思いつかなさそうだし。
僕も思いつかないけど!……頑張ろう、まだまだ伸ばすべきところはある。
「あの、執事さんって……服のサイズまで目測でわかるの?」
「……え? えっと」
やばい。
そういえば、学生服って身長プラス体型で決まるんだよな。
普通にピッタリのやつ渡したけど、怪しまれるじゃん!
なんで、僕が琴音のサイズを知っているかって?
幼馴染、親が仲良し、同じ学校へ進学。
この条件が揃っているなら、採寸も一緒にー、ってなるんだよ!
だから知ってるんです――――ッ!
「執事として、おおよその見当はついて当然、かと」
苦しい。
言い訳が苦しすぎる。
だけど、万能セリフ『執事なので』で切り抜けるしかない。
(動揺するな、堂々としろ。態度から、まずは態度からだ!)
お願いだから琴音、気づかないで……ッ!
「そっか。すごいね、執事さんって。で、あの……」
「ッ! はい、なんでしょうか」
「……着替えるから、部屋、でていって頂けますか?」
「……申し訳ありません。何かあれば、声を掛けて頂ければ」
うわー、うわー、うわー!
はっずかしい! そうだよ、なんで着替えをガン見するみたいな状態に!
あーもー、僕のバカ! 僕のバカ!
(セバスチャンさんじゃないけど、今すぐにどこかに隠れて消えたい!)
顔を両手でおおって、座り込みそうになる。
そこで、ふと気づく。
執事喫茶内が、妙に静かであるということを。
嫌な予感を覚えつつ、顔をあげると……
「よぉ、お楽しみだったかーい? ベディ~く~ん?」
「好きな人と2人っきりで、何も言わなかった根性無しとか、無いよねー?」
面白いオモチャで遊ぶ気満々な、愉悦系男子が2人いた。
あの、ゼロ距離散弾銃みたいな精神攻撃、やめて欲しい。
セバスチャンさん&アルフレッドさん、容赦ないよ。
「あのですね!」
「「しー、あまり大きい声だと隣に聞こえる」」
「あの、です、ね! 好きな子だからこそ大事にするのは普通です!」
「「ほぉ~~~~う?」」
うーわー、顔が腹立つ!
人が真面目に回答しているのに、なんつー反応だよ。
あと、僕のミスで琴音の制服をよごしちゃったのに、それどころじゃない。
「彼女の素肌を盗み見するとかよぉ」
「カフェラテをかけた場所は上着でしょ。だったら……」
「セバスチャン? アルフレッド?」
そこに、聞いたことないほど低い声がひびく。
あの、下手な男性よりも若干、ドスが効いてないでしょうか。
僕に向けられた声色じゃないと分かっていても、身震いする。
「真剣に対応するベディヴィエールをおちょくるとは、何事でしょう」
「いやー、あっははは。オレ、テーブルの清掃してくるわー」
「ボク、ほうきとチリトリで床を綺麗にしまーす」
「……まったく」
ささっ、と逃げた2人に対し、スミスさんはため息を吐く。
「彼女は?」
「中で着替えて貰っています」
「そうですか。では、そのまま彼女を自宅まで送ってきなさい」
「へ!? 執事喫茶は……って、お客さんがいない」
「本日の営業、少し前に終了しましたよ」
いつの間に。
と思うけど、時計を見たらもうすぐ午後6時。
「いつもより、ちょっと終わるの早くないですか?」
「まぁ、不審者もいますので」
不審者=小竹先輩。
……ということでしょうか。
そう思いながらスミスさんを見ると、無言の笑みを向けられた。
たぶん、正解かな。
「旧校舎の門から出ると良いですよ」
「いや、僕も掃除とかそういうののお手伝い……」
「あのバカ2人に任せなさい。今は、彼女を無事送り届けることが最優先」
任せましたよ、王の執事。と、軽く背中を押された。
―――ガチャ
ほぼ同時に、小部屋のドアが開く。
「あの、おまたせしまし……あれ、みんなは!?」
「お嬢様。ご友人がたから伝言です『護衛付きで帰ってね』と」
「護衛、ですか?」
「はい。乱暴な先輩は自分たちが引き付けておくと」
あっ、琴音のテニス部の友達がそんなことを。
「なので、ベディヴィエールを護衛につけます」
「えっ! え!? あの、いいんですか」
「えぇ、もちろん。これも執事の仕事。ですよね、ベディヴィエール?」
早く返事を、という視線が刺さる。
僕は琴音を見て
「はい。僕でよければご自宅までご一緒させてください」
そう答える。
ふと、遠くに逃げた2人が、親指を立てていた。
ったく……こっちはこっちで、調子が良い。
(まぁ、素を知ったおかげで、気楽に話したりできるようになったけど)
僕で遊ぶ頻度が、増えた気がするけどね。
今はそういう話じゃない!
「では、まいりましょうか。お嬢様」
「よ、よろしくお願いします。ベディヴィエール、さん」
「うわぁ、制服の予備!? すごいね、こんなのも準備してあるんだ」
「お嬢様を困らせるわけには参りませんので」
むしろ、その件は僕の方が驚いているというか。
恐らくは、スミスさんによる準備なんだとは思う。
セバスチャンさんとアルフレッドさんだけだと、思いつかなさそうだし。
僕も思いつかないけど!……頑張ろう、まだまだ伸ばすべきところはある。
「あの、執事さんって……服のサイズまで目測でわかるの?」
「……え? えっと」
やばい。
そういえば、学生服って身長プラス体型で決まるんだよな。
普通にピッタリのやつ渡したけど、怪しまれるじゃん!
なんで、僕が琴音のサイズを知っているかって?
幼馴染、親が仲良し、同じ学校へ進学。
この条件が揃っているなら、採寸も一緒にー、ってなるんだよ!
だから知ってるんです――――ッ!
「執事として、おおよその見当はついて当然、かと」
苦しい。
言い訳が苦しすぎる。
だけど、万能セリフ『執事なので』で切り抜けるしかない。
(動揺するな、堂々としろ。態度から、まずは態度からだ!)
お願いだから琴音、気づかないで……ッ!
「そっか。すごいね、執事さんって。で、あの……」
「ッ! はい、なんでしょうか」
「……着替えるから、部屋、でていって頂けますか?」
「……申し訳ありません。何かあれば、声を掛けて頂ければ」
うわー、うわー、うわー!
はっずかしい! そうだよ、なんで着替えをガン見するみたいな状態に!
あーもー、僕のバカ! 僕のバカ!
(セバスチャンさんじゃないけど、今すぐにどこかに隠れて消えたい!)
顔を両手でおおって、座り込みそうになる。
そこで、ふと気づく。
執事喫茶内が、妙に静かであるということを。
嫌な予感を覚えつつ、顔をあげると……
「よぉ、お楽しみだったかーい? ベディ~く~ん?」
「好きな人と2人っきりで、何も言わなかった根性無しとか、無いよねー?」
面白いオモチャで遊ぶ気満々な、愉悦系男子が2人いた。
あの、ゼロ距離散弾銃みたいな精神攻撃、やめて欲しい。
セバスチャンさん&アルフレッドさん、容赦ないよ。
「あのですね!」
「「しー、あまり大きい声だと隣に聞こえる」」
「あの、です、ね! 好きな子だからこそ大事にするのは普通です!」
「「ほぉ~~~~う?」」
うーわー、顔が腹立つ!
人が真面目に回答しているのに、なんつー反応だよ。
あと、僕のミスで琴音の制服をよごしちゃったのに、それどころじゃない。
「彼女の素肌を盗み見するとかよぉ」
「カフェラテをかけた場所は上着でしょ。だったら……」
「セバスチャン? アルフレッド?」
そこに、聞いたことないほど低い声がひびく。
あの、下手な男性よりも若干、ドスが効いてないでしょうか。
僕に向けられた声色じゃないと分かっていても、身震いする。
「真剣に対応するベディヴィエールをおちょくるとは、何事でしょう」
「いやー、あっははは。オレ、テーブルの清掃してくるわー」
「ボク、ほうきとチリトリで床を綺麗にしまーす」
「……まったく」
ささっ、と逃げた2人に対し、スミスさんはため息を吐く。
「彼女は?」
「中で着替えて貰っています」
「そうですか。では、そのまま彼女を自宅まで送ってきなさい」
「へ!? 執事喫茶は……って、お客さんがいない」
「本日の営業、少し前に終了しましたよ」
いつの間に。
と思うけど、時計を見たらもうすぐ午後6時。
「いつもより、ちょっと終わるの早くないですか?」
「まぁ、不審者もいますので」
不審者=小竹先輩。
……ということでしょうか。
そう思いながらスミスさんを見ると、無言の笑みを向けられた。
たぶん、正解かな。
「旧校舎の門から出ると良いですよ」
「いや、僕も掃除とかそういうののお手伝い……」
「あのバカ2人に任せなさい。今は、彼女を無事送り届けることが最優先」
任せましたよ、王の執事。と、軽く背中を押された。
―――ガチャ
ほぼ同時に、小部屋のドアが開く。
「あの、おまたせしまし……あれ、みんなは!?」
「お嬢様。ご友人がたから伝言です『護衛付きで帰ってね』と」
「護衛、ですか?」
「はい。乱暴な先輩は自分たちが引き付けておくと」
あっ、琴音のテニス部の友達がそんなことを。
「なので、ベディヴィエールを護衛につけます」
「えっ! え!? あの、いいんですか」
「えぇ、もちろん。これも執事の仕事。ですよね、ベディヴィエール?」
早く返事を、という視線が刺さる。
僕は琴音を見て
「はい。僕でよければご自宅までご一緒させてください」
そう答える。
ふと、遠くに逃げた2人が、親指を立てていた。
ったく……こっちはこっちで、調子が良い。
(まぁ、素を知ったおかげで、気楽に話したりできるようになったけど)
僕で遊ぶ頻度が、増えた気がするけどね。
今はそういう話じゃない!
「では、まいりましょうか。お嬢様」
「よ、よろしくお願いします。ベディヴィエール、さん」

