診察対象外なのに、冷徹外科医に逃がしてもらえません

ホテルに戻る。

 部屋に入った瞬間。

「……綺麗」

 夜景が広がる。

 大きな窓いっぱいに、光。

     ◇

「……」

 そのまま、見とれていると。

「……こっちを見ろ」

「……っ」

 腕を引かれる。

 振り向く。

     ◇

 近い。

 逃げ場がない。

     ◇

「……外じゃない」

 低く言う。

「……俺を見ろ」

     ◇

 視線がぶつかる。

 外の光なんて、どうでもよくなる。

     ◇

「……凌さん」

「何だ」

「……やっぱり」

 小さく笑う。

「逃げられないですね」

     ◇

 黒崎の目が、わずかに細くなる。

     ◇

「……最初から言っている」

 一歩、近づく。

「逃がすつもりはない」

     ◇

 そのまま。

 唇が重なる。

 ゆっくりと。

 でも、深く。

     ◇

「……っ」

 息が乱れる。

 でも、離れない。

     ◇

「……白石」

「……ん」

「……名前で呼べ」

「……凌さん」

     ◇

「……それでいい」

 低く呟く。

     ◇

 そのまま。

 ベッドへと引き寄せられる。

     ◇

「……逃げるな」

「……逃げません」

 即答する。

     ◇

 もう。

 逃げる理由なんて、どこにもない。

     ◇

 この人の腕の中が。

 一番、安心する場所だから。