診察対象外なのに、冷徹外科医に逃がしてもらえません

バージンロード。

 一歩、一歩進む。

 視線の先には、黒崎。

 でも。

     ◇

 途中で、ふと視線が逸れる。

 招待客の中に、見慣れた顔。

 病院関係者たち。

 そして――

 高瀬の姿。

     ◇

 綺麗なドレス。

 落ち着いた笑顔。

 やっぱり、似合う。

 こういう場所。

     ◇

(……やっぱり)

 一瞬だけ、心が揺れる。

 あの人のほうが――

     ◇

「……何を見ている」

「……っ」

 低い声。

 顔を上げる。

     ◇

 黒崎が、こちらを見ていた。

 まっすぐに。

 逃がさない視線で。

     ◇

「……集中しろ」

 小さく囁かれる。

「……」

「見るのは、俺だけでいい」

     ◇

 その一言で。

 全部、消えた。

     ◇

「……はい」

 小さく頷く。

     ◇

 もう、迷わない。

     ◇

 隣に立つ。

 自然に手を取られる。

     ◇

「……遅い」

「すみません」

「謝るな」

 いつものやり取り。

     ◇

「……綺麗だ」

 低く、確かに言われる。

     ◇

 それだけで。

 全部、報われる。