さよなら、ロマンティック

「華恋さん、また一人で本読んでる」
「綺麗なのにもったいないよな、
性格キツくて今まで恋人もいたことないらしいぜ」
「まじで!? 俺、狙っちゃおっかなー。
ちょっとキツイくらい、あんなに美人なら全然……」

バタっ、と本を閉じる音が響く。
華恋の睨む鋭い眼光(がんこう)を見ては、
男子生徒はすぐに逃げ足で去る。

木更津華恋は学年で一番綺麗な女子生徒として
入学当時から一目置かれた存在だった。
しかし、華恋は他者との馴れ合いを拒否するように、
あからさまに一人で行動している。
人気、は次第に異質な存在という認識に変わり、
今では完全に孤立していた。

曇り日、某日(ぼうじつ)。今日は部活の日だった。
華恋はチャイムの音と同時に立ち上がり、
校舎の奥の方にある空き教室へと姿を隠した。