森の奥のあの家で

第1話「騒がしい朝」

森の奥。
木々に囲まれた静かな場所に、一軒の家がある。

朝の光が差し込み、鳥の声が響く中――

その静けさは、一瞬で壊された。

「お姉ちゃーーーん!!お腹すいたーーー!!」

家の中に、元気な声が響く。

キッチンに立っていたノワは、振り返りもせずに言った。

「さっき食べた」

「もうお腹すいた!」

「早い」

ノワは淡々とフライパンを動かす。

その様子を見ながら、カイムが少し困ったように笑った。

「レナ、すごいね…」

「えへへ!」

褒められているのかよくわからないまま、レナは得意げに胸を張る。

その時だった。

――バンッ!!

大きな音とともに、窓が勢いよく開く。

「よっと」

軽い声と一緒に、ひとりの男が部屋に入ってきた。

「なんで窓から入ってくるの!?」

レナが叫ぶ。

こはくは気にした様子もなく答える。

「ドア遠いんだよなー」

「歩け!!」

「めんどい」

ノワがちらりとだけ視線を向ける。

「帰れ」

「ひどーい!客人がきてやってんのに!」

こはくはそう言いながら、勝手にテーブルの上の料理に手を伸ばした。

「ちょっと!?まだ食べてないんだけど!?」

レナが慌てて止めようとする。

しかし、こはくは気にせず一口食べる。

「うっま」

「食べるなーーー!!」

「いいだろ?別に」

「よくない!!」

カイムはその様子を見ておろおろしている。

「え、えっと……止めたほうがいいのかな……」

「無理」

ノワが一言で切り捨てる。

レナはぷんすか怒りながらも席についた。

「もういい!いただきます!!」

「もう食ったけど」

「えええええ!!?」

騒がしい声が、静かな森に響く。

――それが、この家の“いつもの朝”だった。