さすが……お嬢様だな。

高級住宅街の中の一軒家。


手入れの行き届いた芝生に、白を基調とした外壁。
大きなガラス窓が、シドニーの強い陽射しをそのまま室内へと取り込んでいる。

玄関までのアプローチはやけに長くて、
一歩踏み出すごとに、自分の場違いさを思い知らされるようだった。

——本当に、ここで暮らしてたのか。


「ここの部屋、自由に使って」

広い吹き抜けの玄関へ入り、螺旋階段を上り、
奥の部屋へと奈桜が案内してくれた。

通されたベッドルームは、ホテルのように綺麗に整っている。


「ありがとう」

振り返った奈桜と、至近距離で視線が合う。
2年前よりも、だいぶ背が伸びた。

「大人になったな」


ぽん、と頭に手を乗せると、彼女は擽ったそうに、恥ずかしそうに俯く。

……そういうところは、変わらないな。


「……先生の隣に立っても、見劣りしないような女性になりたい」

不意に落とされたその言葉に、
一瞬呼吸が止まる。

そんなこと、考えていたのか────


「充分、素敵な女性だ」

そんな彼女がすごく愛おしい。

奈桜も弾かれたように俺を見上げる。


「本当に?」

「……ああ」

少しだけ間を置いてから、続ける。


「可愛い奈桜じゃなくて、綺麗な奈桜になった。ちゃんと、目で追ってしまうくらいに」


その言葉に、奈桜は俯かなかった。

逸らすどころか——
まっすぐ、俺を見つめ返してくる。



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