「……やっと、迎えに来れた」


低くて優しい声。


「遅いよ」


涙を堪えながら、短く返す。

先生が少しだけ困ったように笑った。



「奈桜。卒業、おめでとう」


先生がふわっと微笑む。
色とりどりの花で作られた花束を受け取った。
嬉しくて、胸の鼓動がどんどん加速していった。


「頑張ったよ……」


「本当に、頑張ったな」


髪を何度も撫でられて、恥ずかしくて頬が熱い。

でも、心地よかった。


「会いたかった」


もう、隠さなくてもいいんだよね。
そう言って先生の首に抱きついた。
2年分の距離が、一瞬で消える。


「俺も…」


それから、どちらともなく唇を重ねた。
初夏の光の中で、すべてがほどけていくみたいに。


一度離れて、また触れる。

今度は少しだけ、深く。


紫の花びらがふわりと風に舞って、2人を祝福するかのように優しく包んだ。

私にとっての“The One”は、今までもこれからもずっと…


変わらない────



END


.