「今は…別居してる。離婚の準備もお互いしている」


波の音が、少しだけ大きく聞こえる。


「…それから、奈桜と向き合っていきたかった」


それ以上聞かなくても、十分すぎるくらい伝わる。
私は視線を落とした。

知りたかった訳じゃない、でも知りたくなかった現実。


「……越えなきゃいけない壁が、たくさんある。少しずつ…って思ってた」


「…結婚、うまくいってないの、なんとなく……分かってた」


先生が、少しだけ目を見開く。

強がりかもしれない。

でも嘘じゃない。


「それでも━━━」



言葉が少しだけ震える。



「それでも…先生が好き」



言えた。
ずっと、言いたくて言えなかった気持ち。

伝えちゃいけなかった。

分かってた。


それでも、伝えたかった。


先生の表情が一瞬で変わる。


何かを堪えるように、苦しそうに。


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