それから、数日が過ぎた。

朝は家庭教師と勉強をして、
夕方にはそれも終わり、一日の区切りがつく。

カーテンの隙間から差し込む光は、いつの間にかオレンジ色に変わっていて、
日が少しずつ短くなっていることに気づいた。

私はベッドの上で、スマホを握りしめたまま、
ぼんやりと天井を見つめていた。


━━━━何をするでもなく、ただ時間だけが過ぎていく。



カオリ、大丈夫かな…無理させてないかな

それに、本当に先生に連絡してもいいのかな

ぐるぐると不安が渦巻いて大きくなっていく。

ピロン


急にスマホが音を立てて震えた。

反射的に画面を見ると、カオリの名前が表示されている。

『携帯の番号分かったから、送るね』

先生の、電話番号。

スマホをギュッと抱き締める。

今までどうしても届かなかった距離が、一瞬で手の届く場所にきてしまった。

『カオリ、ありがとう』

文字を打つ手が強ばっているのを感じて。

言葉にできない気持ちが喉を締めつけていた。


『がんばれ!!』

カオリが応援してくれてる。

でも、怖い…━━━━━

何を送ればいいかも、
送ったらどうなるかも、分からない。

全部、壊れるかもしれない。

それでも━━━━━

胸の奥ではっきりとした声がする。


このまま送らなかったら、本当に終わる。

何も無かった事になる。

あの時間も

あの距離も

全部。


「それは、嫌だ…」


自分の気持ちが、はっきりと形になる。

メッセージの画面を開いて、点滅したカーソルを眺めた。
それだけで、心臓がうるさいくらい鳴っている。

何度も打っては消してを繰り返す。


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