『いやいやいや、それは詰んでるって!!』

こんな状況なのに、

少しだけ笑いそうになる。

でもすぐに現実に引き戻される。

「どうしようもないよ…」

『ある』

はっきりと言い切る声。

「……え?」

『私、ちょっとどうにか頑張ってみる』

「頑張ってみるって…」

『だって小幡2年3組の副担任だし、3組の先輩に聞けば分かるでしょ』

心臓が、ドクンと鳴る。

『ツテ探す!!』

力強い言葉。

「……カオリ」

声が震える。

『その代わり』

少しだけトーンが落ちる。

『ちゃんと会いに行きなよ』

息が止まる。

『逃げて終わるとか、奈桜らしくない』

胸の奥に、まっすぐ刺さる。

「……でも」

『でもじゃない』

すぐに被せられる。

『あとで後悔するのは絶対ダメ!!』

言い切る。

迷いなく。

「……っ」

何も言えない。

でも——

心の奥で、

何かが、確かに動いた。



『とにかく、連絡先は絶対手に入れるから』

少しだけ優しい声に戻る。

『待ってて』

通話が切れる。


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