理解が追いつかない。



「な、に…言ってるの…」



声が震える。


「嫌だよ、そんなの」



即答だった。

考えるまでもなく。


「行かない」


はっきり言ったのに、

ママの表情は変わらない。


「これは決定事項。自分の人生こんなくだらない恋愛で棒に振るつもり?」


冷たい声。

逃げ場は、ない。

くだらない恋愛…

ママにそう言われてしまったことが、凄く苦しかった。

やっぱり、分かってはくれないんだね。



「奈桜のためなの」


ママは必死に私の腕を掴んで、ぐっと力を込める。私のため?


「……っ、どこが…」



怒りで震える。どうして、分かってくれないの。



「好きな人に会えなくして、それが私のためなの…?」



空気が、一瞬止まる。

ママの目が、わずかに揺れる。

でも——


「今はそう思えなくてもいい」


静かに言い切る。


「でもいつか、きっと分かってくれるってママは思ってる」


分かるわけない。

こんなの。

こんなの——


「……やだ」



もう一度。

小さく、でも確かに。

でも、その声は

誰にも届かない。


「どっちを取るの?」

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