午前零時になったら〜ピーターパンとシンデレラ〜

「私、この指輪が今まで人から貰ったプレゼントの中で一番嬉しい」

そう華純が言うと、類は照れたように笑った。

「そう言ってもらうと、頑張って選んだ甲斐があったかも」

類が華純の左手を取る。薬指に指輪が嵌められた。

「じゃあ、行こうか」

類と手を繋いだまま華純はバルコニーに出る。バルコニーには縄が垂らされていた。それを伝って華純と類は二階から庭へと降りる。

二人は手を繋ぎ、夜の街を駆けていく。華純の胸は喜びで溢れていた。これからどうなるのかわからない。それでも、この道を進むことをやめられない。ただ生まれて初めての自由を、華純はただ噛み締める。

「これからどこに行くの?」

華純の問いに対し、類は楽しそうに笑った。

「そうだね。お父様たちに見つかるとまずいからね。二人が行かなそうな場所にしないと。とりあえず北の方に行ってみようか」

「うん!」

月明かりが、優しく二人を照らしていた。