桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

「……なにしてんの」

颯太は、無表情のままこちらを見ていた。

隼人も何も言わない。

「えーと、これは……」

言葉が続かない。

やましいことなんてないのに、なぜか言い訳みたいな言葉ばかり浮かぶ。

慌てて、隼人の上から立ち上がった。

その拍子に、膝が隼人のお腹に当たる。

「いてっ」

小さく声が聞こえた。

「あっ、ごめん!」

振り返ると、隼人もゆっくり体を起こしている。

「……足、滑らせた」

隼人からの短い説明。

颯太はしばらく黙っていたが、

「……ふーん」

とだけ返した。

玄関から上がる音がして、
足音がまっすぐこちらへ近づいてくる。

「ちょっと! 真っ暗だよ?」

颯太は構わず、私と隼人の間をすり抜けていく。

「……ブレーカーだろ」

それだけ言って、奥へ向かった。

すれ違いざま、一瞬だけ足が止まる。

「……バカヤロウ」

私にだけ聞こえるくらいの、小さな声。

一瞬、息が詰まる。

……なんだか、いつもと違う気がした。

颯太はそれ以上何も言わず、階段へ向かった。

足音が二階へ遠ざかっていく。