桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

……そして。

そこは、入らなきゃよかった、と思うくらいカオスな空間だった。

敦兄の机には書類が山積みになっている。

その斜め前の席では、眼鏡をかけたおとなしそうな男子生徒が黙々と書類を見ていた。

そして、その机の横の空間に――

なぜか、白鳥ゾーンができている。

白鳥さんは豪華な椅子に優雅に腰掛け、アンティークのティーカップでお茶を飲んでいた。

白いテーブルクロスのかかった小さなテーブルには、ティーポット。

その横には、先程運転席にいた田中さんが静かに控えている。

……多分、白鳥さんの執事、なんだろうか。

どう考えてもおかしいのに、なぜか妙に絵になっていた。

敦兄はよほど忙しいのか、私たちが部室に入ってきたのに気づくと、

「よっ」

と一言だけ顔を上げ、すぐまた書類に目を落とした。

ペンを走らせながら、次々と処理していく。

……なんか、めちゃくちゃ仕事してる。

朝、竹中先生に呼び出されてるって言ってたっけ。

私たちは邪魔にならないよう、入口の近くで立ち止まったままだ。


「会長ー、この前の議事録、また読めません……」

眼鏡をかけた大人しそうな男子生徒が、今にも泣きそうな声で言った。

敦兄が顔も上げずに言い返す。

「おい白鳥!毎回田中さんに議事録やらせんのやめろよ!達筆すぎて読めねーだろ!」

すると、優雅にお茶を飲んでいた白鳥さんが、ふっと目を細めた。

「……田中」

低い声で呼ぶ。

「……お気をつけあそばせ」

「申し訳ございません、お嬢様。敦様」

田中さんが深々と頭を下げる。

「っ違う!」

敦兄が勢いよく顔を上げた。

「俺は田中さんに怒ってるわけじゃなくて! あーもう! こんなことに時間かけてる暇ないんだって!」

……カオスだ。

私は何も言えず黙り込む。

その横で、芽衣がまた手帳を開いた。