桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

生徒会室へ向かう途中。
私はさっきから気になっていたことを、口に出した。

「芽衣ちゃん、その手帳、なに?」

芽衣は手にしている手帳をちらりと見て、悪戯っぽく微笑む。

「……ないしょ」

「あー、この子ミステリー小説好きでさ」

瑞稀が横から言う。

「……観察は基本」

芽衣がさらっと続けた。

「探偵ごっこってこと?」

「……まあね」

答えた芽衣は、なぜかちょっとドヤ顔。

……なるほど。

だからこんなに渋い手帳を持ち歩いてるのか。
見た目とちょっと合ってない気がして、ずっと気になっていた。

「……何かあった時に犯人を割り出す」

「そ、そう」

……いや、そもそも何かあったら困るんだけど。

ちらっと瑞稀を見ると、私と同じことを思ったのか、困ったように微笑んだ。

そんな話をしながら、私たちは三年の校舎へ向かった。廊下は思ったより静かで、なんとなく緊張する。

生徒会室の前に立つと、
小さく息を吸って、ドアをノックした。「はいはーい」


すぐに中から軽い声が返ってくる。

……あっちゃんじゃ、ない。

ガチャリ、とドアが開いた。

ドアを開けたのは、背の高い男子生徒だった。

敦兄ほどではないけれど、すらっとした長身。
着崩した制服に小さめのピアス。
タレ目で、どこか気の抜けた雰囲気。

「えーと……」

桐生敦さんいますか、と言いかけと時。

背後から、ぽつりと声がした。