桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

グラウンドの横を抜け、校舎へ戻ろうとした時、体育館の方から、鋭い掛け声と竹刀のぶつかる乾いた音が響く。

「……剣道部だ」

私たちは体育館の方を覗いた。

「俊兄、いるかな」

入口の方へ少し近づく。

体育館の前には、制服姿の女子生徒が何人か立っていた。
どうやら剣道部の練習を見に来ているらしい。

瑞稀が周りをきょろきょろ見回しながら言う。

「相変わらず人気だねー。俊さん」

「うん、そうみたいだね」

体育館の中を見ると、胴着姿の剣道部員たちが打ち込みをしている。

その中に、俊兄の姿を見つけた。

長身の黒髪。
まっすぐな背筋。
面を外した端正な顔立ち。

部員たちの前で何か指示を出している。
その声に、周りの部員たちがすぐ動いた。

胴着姿が、やけに似合っていた。

さっきまでの稽古でも、
構えも動きも無駄がなく、自然と目を引かれた。

「……?」

ふと、俊兄がこちらを見た。

そして、

「りあ!」

私に気づいたらしい。

俊兄はタオルで顔を拭きつつ、体育館の入口の方へ歩いてくる。

「俊兄、おつかれ」

私は軽く手を振る。

「今、部活見て回ってて」

「そっか」

俊兄はうなずく。

そこで、視線が瑞稀と芽衣の方へ移った。

「あ、どうも」

瑞稀が改まった態度でぺこりと頭を下げる。

俊兄はすぐに思い出したように言った。

「ああ、この前はありがとう」

「この前?」

私が首をかしげると、瑞稀が慌てて言った。

「試合の応援。ほら、チア部だし、応援とか好きで」

「あ、そっか」

そういえば、瑞稀チア続けてるって言ってたっけ。

その横で、芽衣がじっと俊兄と瑞稀の様子を見ている。

ーーその時。

倉庫の方から、ジャージ姿の女子が出てきた。
両腕には、タオルの入ったかご。

私は思わず目を向けた。

この前、体育館の横で俊兄と一緒にいた――
剣道部のマネージャーの人だ。