桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

学校の裏門に着くと、敦兄は足早に車を降りた。
正門で目立つと面倒だから、と敦兄が裏門に止めさせた。

「じゃあな、りあ。また後で!」

敦兄はそう言うと、さっさと駆け出す。

「敦さま! お待ちになって!」

白鳥さんが慌ててその後を追いかけた。

二人の背中を見送りながら、私は小さく息をつく。

「……教室、行こっと」

朝から、なんだかどっと疲れた。

私は二年の校舎へ向かって歩き出した。


教室に入ると、すぐに瑞稀と芽衣が寄ってきた。

「りあ! おはよー。制服似合ってるじゃん」

瑞稀がにこっと笑う。

「ありがと」

少し照れながら答える。

すると芽衣が、可愛らしく微笑んだ。

「……りあ、仇は取ったから」

たぶん、昨日のことだ。
颯太の首に当たった、輪ゴム……。

「あはは……ありがと」

……一応、弟なんだけどな。

心の中で思う。
授業が始まる。

先生の声、黒板の音、ノートを取る音。

日本の学校って、こういう感じだったな。

そんなことをぼんやり考えながら、ふと机に視線を落とした。

その瞬間――

中学の頃の記憶が、ふいに蘇る。

机の中に入れられていたカッター。
指先に走る鋭い痛み。
にじむ血。

「……!」

私は思わず息を止めた。

小さく頭を振る。

……大丈夫。

もう昔のこと。

気づけば、授業は終わっていた。