桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

敦兄に促され、私は白鳥さんの高級車の後部座席に座った。

運転席には、優しそうな初老の男性。
さっき白鳥さんが「田中」と呼んでいた。

私を挟んで敦兄と白鳥さんが座っている。
なぜか、私が真ん中に押し込まれている。

……あっちゃん、絶対私のこと壁にしてるでしょ。

そんなことを思っていると、白鳥さんが優雅に口を開いた。

「ところで、妹君のことは何とお呼びすればよろしくて?」

答えようと口を開きかけると、
反対側から敦兄の声が飛んできた。

「りあたんだ」

「え」

思考が一瞬止まる。

白鳥さんはぱっと顔を輝かせた。

「まぁ! りあたんさん、可愛らしいお名前ですわね」

「あの、“たん”はいりません。“たん”は」

冷静に訂正する。

……もちろん、白鳥さんはまったく聞いていない。

「わたくしのことは……そうね。お姉様とお呼びいただいてよろしくてよ。未来の義姉妹ですもの」

そう言って、ちらりと敦兄を見る。

敦兄は即座に顔をしかめた。

「俺、結婚とか向いてねーから! つーか、お前と夫婦とか絶対いや」

その言葉に、白鳥さんがはっとした顔になる。

私は慌てて口を挟んだ。

「ちょっとあっちゃん! 今のは言い過ぎ――」

でも。

白鳥さんは次の瞬間、頬をほんのり赤らめた。

「自分の意見をしっかりお持ちでいらっしゃるなんて……さすが敦さま」

うっとりした声で続ける。

「素敵ですわ」

「……」

私は黙り込む。

……だめだ、こりゃ。