桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

――昨日の午後。

優雅なティータイムの最中だった。

「桜子様! 大変です!」

慌てた様子の女子生徒が駆け込んでくる。

「敦さまが、特定の女子と登校してきました!」

その後ろから、望遠鏡とカメラを持った数人の女子――親衛隊が雪崩れ込んできた。

「まぁ……!」

白鳥の手から、持っていたティーカップが滑り落ちると、

ぱりん、と音を立てて砕けた。

「桜子様! お気を確かに!」

「……調べて。調べてちょうだい……」




白鳥さんがにっこり微笑む。

「――と、いうことで調べさせましたの。妹君だったとのこと。わたくし、安心しましたわ」

「いや、“ということで”って言われても……。
エスパーじゃないので分からないですけど……」

つい困った顔をしてしまう。

でも、ふと思う。

昨日、学校で感じていたあの視線。

……あれ、この人だったのか。

その時、家の中から、敦兄の声がした。

「おい、りあっ」

いつの間にか玄関から顔を出している。

「真剣に相手にしても疲れるだけだから。50%くらいの力量でいけ」

……いや、無理でしょ。

すると、白鳥さんがぱっと顔を輝かせた。

「まぁ! 敦さまの有り余るお力の半分も私に向けてくださるなんて、光栄ですわっ」

「……」

私は無言になる。

何を言っても、たぶんダメなタイプだ。

「つーか白鳥!」

外に出てきた敦兄が苛立った声を出す。

「お前、家には来んなっつってるだろ!」

「まあまあ、あっちゃん」

なだめるように言うと、
白鳥さんもにっこり微笑んだ。

「そうですわ。まあまあ、敦さま」

「お前が言うな!」

敦兄が即座にツッコみ、ふと腕時計を見る。

「やべっ! 今日授業始まる前に美奈ちゃんに呼び出されてるのに! 白鳥、車乗せてけ!」

白鳥さんは首をかしげた。

「竹中先生かしら? どうしてわたくしはお呼ばれしないのかしら。わたくしも生徒会の一員ですのに」

……え。

思わず目を丸くする。

この人も生徒会!?

……。

……そういえば、担任の竹中先生は生徒会の顧問だっけ。

敦兄は呆れた顔をした。

「お前まともに書記の仕事したことないじゃん! ほら、行くぞ!」

そして白鳥さんの車に駆け寄る。


「ほら、りあ。お前も早く乗れ」


……え。

私も、乗るの!?