桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

翌朝。

鏡の前で前髪を整えて、制服の襟を軽く直す。

……今日から、学校が始まる。

小さく息を吸って、部屋を出た。

一階へ降りると、廊下で隼人と鉢合わせた。

「あ……おはよう」

「おはよ」

隼人はそれだけ言うと、そのまま玄関の方へ歩いていく。

昨日の夜のことが、ふっと頭をよぎった。

花を直した手。
近かった距離。

胸の奥が、少しだけ落ち着かなくなる。

……なんでだろう。

いや、きっと気のせいだ。

気持ちを振り払うようにキッチンへ向かう。

昌枝さんが作り置きしてくれていたお弁当を、鞄に入れた。

俊兄と颯太は、もう部活の朝練に出ているらしい。

家の中は思ったより静かだった。

そのまま玄関へ向かい、靴を履く。

ドアに手をかけながら、後ろを振り返った。


「あっちゃん! 先行くよー!」


二階から敦兄の声が響く。


「おい待ってくれよ〜!」
玄関を出ると、朝の空気がひんやりとしていた。


軽く伸びをする。
家の前に、見慣れない車が停まっているのに気づいた。

黒くて、大きくて、いかにも高級そうな車。

……なんだろう。

視線だけ残したまま、
敷地の外へ出たその時――


「そこのあなた、よろしいかしら?」


「え?」

声をかけられて振り返る。