桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

俊兄は一瞬きょとんとして、それからふっと笑った。

「いいって。気にすんな」

その様子を、敦兄がじっと見ている。

「……なんだよ」

俊兄が少し苛立った声で言う。

「いや、俺に対する態度とずいぶん違うなーって」

敦兄はにやにやしながら続ける。

「相変わらず、りあに甘いなー。俊兄は」

「……それ、敦兄が言うかね」

颯太が呆れたように返す。

「なんだよ」

「自覚ないのかよ」

軽口が飛び交う中、
キッチンから、いい匂いと一緒に昌枝さんが現れた。

大皿いっぱいの唐揚げを抱えている。

「昌枝ちゃーん! 俊が俺のことイジメる!」

敦兄が大げさに訴えると、
昌枝さんは笑いながら、大皿をテーブルの真ん中に置いた。

「ほら、あっちゃんの好物の唐揚げだからね。機嫌直しなって」

「よっしゃ!」

敦兄がぱっと箸を伸ばす。

「……単純なやつ」

ぼそっと、俊兄がつぶやいた。

私の隣では、颯太がもうご飯をがつがつ食べている。

「昌枝ちゃん、おかわり」

「颯太!」

「昌枝さん、だろ」

私と俊兄の声が重なると、颯太がむっとする。

「なんだよ。敦兄だってちゃん付けじゃん」

「俺と昌枝ちゃんの仲だもん」

敦兄が当然みたいに言うと、
昌枝さんが楽しそうに笑う。

「あはは! そうだね」

「でも、颯太はダメだからね」

「なんだよっ」

私の注意に、颯太がふてくされた声を出す。

つい口元が緩む。

その時――廊下の方から、足音が近づいてきた。