桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

一階に降りると、いい匂いが広がっていた。

ダイニングに入ると、昌枝さんが料理を運んでいるところだった。

敦兄はすでにいつもの席に着いていて、俊兄はお茶を入れている。

席を見回して、ふと気づく。

「……あれ、隼人は?」

「まだ帰ってないよ」

颯太はそう答えると、
ちらりと私を見て、そのまま自分の席に腰を下ろした。

「そっか……」

視線を戻すと、昌枝さんが食器を運んでいるのが目に入る。

「私持っていくね」

慌てて駆け寄ると、昌枝さんが少し驚いたように笑う。
私は食器を受け取り、テーブルに並べた。

それから自分の席に座る。

久しぶりに兄弟たちと食べるご飯が、少し嬉しい。

……隼人はいないけど。

キッチンの方から、油のはねる音が聞こえてくる。
昌枝さんはまだ揚げ物をしているらしい。

「いただきます」

私たちは先に食べ始める。

前に座る敦兄が、思い出したように口を開いた。

「あ、そうだ。りあ、制服もらってきたぜ。部屋にかけといた」

「ありがと、あっちゃん」

そう返すと、敦兄の隣に座っていた俊兄がじっと敦兄を見る。

「……」

「ん? なんだよ?」

敦兄が首をかしげる。

「いや、お前……りあの部屋、勝手に入ったのか?」

少し引いたような声だった。

「しょうがねーじゃん。何回もノックしたよ? でも返事なかったんだもん」

「敦兄、きもーい」

颯太が即座に言う。

「なんだよ!」

敦兄がむっとすると、俊兄は小さくため息をついた。

「……そういう場合、俺なら入らないけどな」

「!」

その言葉を聞いて、昼間のことを思い出す。

――俊兄の部屋。

鍵を返すためとはいえ、勝手に入ってしまった。

兄弟たちがわあわあと言い合っている中、
慌てて口を挟む。

「っ俊兄、ごめん! 借りてた鍵返したくて、部屋入っちゃった……」

ぴたりと、空気が止まる。