桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

顔を上げると、瑞稀がもう目の前まで来ていた。
目が合った瞬間、距離が一気に縮まる。

「りあ、久しぶり!」

そう言って私の机に身を乗り出す。

「ねぇ、昨日何回も連絡したんだけど!」

「あ! ごめんごめん。ちょっとバタバタしてて……」

まさかアルコールを誤飲してバタバタしてたなんて、言えるわけがない……。

瑞稀は私の様子を見て、ふふっと笑った。

「いいよ。帰ってきたばっかりだもん。
まぁ、色々あるよね」

変わらない瑞稀に、ほっとする。

「でも、瑞稀が同じクラスでよかった」

瑞稀が一瞬だけ私を見る。

「そりゃそうでしょ」

そう言って、瑞稀はいつものように笑った。
私は小さく息を吐く。

ふと瑞稀の後ろを見ると、小柄な女の子が立っていた。

……いつからいたんだろう。

気づかなかったのが、不思議なくらい、
静かにこちらを見ている。

私の視線に気づいたのか、瑞稀が振り返った。

「あ、この子は芽衣。茅島芽衣(かやしまめい)
高校で仲良くなったの」

「……よろしく」

芽衣が軽く頭を下げる。

黒いカチューシャがよく似合う長い髪が、
かすかに揺れた。

人形みたいに、可愛い子だ。

「こっちは桐生りあ。って、さっき聞いたか。前に言ってた私の幼なじみ」

「よろしく、芽衣ちゃん」

転校初日に友達が増えたのが、少し嬉しかった。

「今日はもう帰るんでしょ?」

瑞稀に聞かれる。

「うん。ちゃんと授業受けるのは明日から」

そう答えて笑いかけると、
ふと、窓の外に目を向けた。

校庭の向こうを、男子生徒が何人か歩いている。
その中に、見慣れた後ろ姿があった。