桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

敦兄の向かいの席に座り、並んだおかずに箸を伸ばす。

昌枝さんが作り置きしてくれていた料理だ。
今日は少し多めらしい。

箸を置いて立ち上がる。

「飲み物入れるね」

「サンキュ」

背中に、敦兄の声が飛んできた。

「そういえばさ、お前、ガキの頃からよくキッチンに立ってたよな」

「そうだね」

冷蔵庫を開けながら答える。

「最初はお母さんが家事苦手だからやってただけだけど、今はわりと好きかも」

昌枝さんの横で、よく料理を教えてもらっていた。

「おいおい、りあたん、俺に内緒で嫁に行くんじゃないぞ」

「何言ってんの、お茶でいい?」

「おお」

敦兄は、ふざけてなのか、たまに私を「りあたん」と呼ぶ。
久しぶりに聞くと、少しくすぐったい。

冷蔵庫に視線を戻すと、奥に炭酸の缶が見えた。

……なんか、炭酸飲みたい気分かも。

「ねえ、あっちゃん。これ飲んでいい?」

「いいよいいよ。なんでも食って飲め」

敦兄は顔も上げずに言った。

「プリン以外はな」

思わず苦笑する。
昔、敦兄のプリンを勝手に食べてしまって、珍しく拗ねられたことがあった。

お茶をコップに入れて敦兄に渡し、席に戻る。

プシュッ。

炭酸の缶を開けて、一口飲む。

「……あれ」

少し眉をひそめる。

「なんかこれ、ちょっと変な味するかも」

「ん?」

敦兄が顔を上げる。

次の瞬間。

「——あ!!」

「え?」

敦兄が勢いよく立ち上がった。

「お前それっ!」

手から缶をひったくられる。

「昌枝ちゃんの酒!!」