「おい、颯太」 落ち着いた声。 「バッグ投げてくな。俺が持つ前提かよ」 振り向くと、階段の上に立っていたのは、俊兄だった。 剣道部のバッグを肩にかけ、 もう片方の手にはサッカー部のバッグ。 たぶん、颯太が放り投げたやつだ。 「……りあ?」 俊兄が私を見る。 ほんの少しだけ、目を見開いた。 「俊兄!」 声が弾む。 俊兄は小さく息を吐いて—— 「……ほんとに帰ってきたんだな」 優しい目で、そう言った。