「あ、あのね、愛花ちゃん、シール、交換しない……?」
私に声を掛けてきたのは、うちの六年三組のクラスでいつもひとりぼっちの太った女の子だった。手にはシール帳。透明なカバーの下に、今流行りの飴のようにふっくらしたシールが貼ってあるのが見えた。
私は顔をしかめた。
「やだよ。てか、小林、お前話かけてくんなよ」
そう言えばきっとすぐ「ご、ごめんね!」と離れていくと思っていた。それなのに。
「ご、ごめんね! でも、どうしても交換したいの! このシールね、ひみつの力があるんだって!」
「ひみつ?」
その言葉に興味をひかれた。私はそのことを顔に出さないように苦笑した。
「仕方ないな、そんなに言うなら交換してやるよ」
「ありがとう!」
私は自分のシール帳の中から、百均で買った一番どうでもいいシールを渡した。そして、どのシールをもらおうかとシール帳をのぞきこんだ。
「ありがとう!」
私の手にはシール帳がそのまんま押し付けられた。
「え? ちょ、待てよ。全部?」
彼女はあっという間に走り去って見えなくなった。私の手の中にはずっしりとしたシール帳だけが残った。
翌朝。ベッドから起き上がろうとすると何か体が重い。眠気まなこで鏡を見て、ぎょっとした。
そこには、シールのようにふっくらと太った自分の顔があった。
一気に眠気が覚めた私は、身支度を整えて親に見つからないようにすぐに小学校へ向かった。手にはあのシール帳を持って。
「おはよう!」
声をかけても、誰もこたえてくれない。私は目で小林を探した。いた。少しやせているけど間違いない。
「ちょっと、シール帳返すから!」
原因はこれしか思い付かない。彼女は笑った。
「やだよ。てか、小林、お前話かけてくんなよ」
窓に映った私の姿は、小林だった。
私に声を掛けてきたのは、うちの六年三組のクラスでいつもひとりぼっちの太った女の子だった。手にはシール帳。透明なカバーの下に、今流行りの飴のようにふっくらしたシールが貼ってあるのが見えた。
私は顔をしかめた。
「やだよ。てか、小林、お前話かけてくんなよ」
そう言えばきっとすぐ「ご、ごめんね!」と離れていくと思っていた。それなのに。
「ご、ごめんね! でも、どうしても交換したいの! このシールね、ひみつの力があるんだって!」
「ひみつ?」
その言葉に興味をひかれた。私はそのことを顔に出さないように苦笑した。
「仕方ないな、そんなに言うなら交換してやるよ」
「ありがとう!」
私は自分のシール帳の中から、百均で買った一番どうでもいいシールを渡した。そして、どのシールをもらおうかとシール帳をのぞきこんだ。
「ありがとう!」
私の手にはシール帳がそのまんま押し付けられた。
「え? ちょ、待てよ。全部?」
彼女はあっという間に走り去って見えなくなった。私の手の中にはずっしりとしたシール帳だけが残った。
翌朝。ベッドから起き上がろうとすると何か体が重い。眠気まなこで鏡を見て、ぎょっとした。
そこには、シールのようにふっくらと太った自分の顔があった。
一気に眠気が覚めた私は、身支度を整えて親に見つからないようにすぐに小学校へ向かった。手にはあのシール帳を持って。
「おはよう!」
声をかけても、誰もこたえてくれない。私は目で小林を探した。いた。少しやせているけど間違いない。
「ちょっと、シール帳返すから!」
原因はこれしか思い付かない。彼女は笑った。
「やだよ。てか、小林、お前話かけてくんなよ」
窓に映った私の姿は、小林だった。

