野球、やりませんか⁉

「……なら、わたしか中山くん、どっちがセカンドにふさわしいか、みんなでテストして。もしわたしが勝ったら、中山くんの代わりに、わたしがセカンドで出る。それでどう?」


 わたし……やっぱりみんなと野球がしたい。

 中山くんなんかに、セカンドを渡したくない。


 ぽかんとした顔でわたしの言葉を聞いていた中山くんが、ぷっと吹きだした。


「それ、本気で言ってる? オレだって、これでも一応小学校んときちょっとやってたんだぜ? ケガする前に、やめとけって。こいつらのレベルに、ど素人のおまえがついていけるわけねーだろ」

「わたしに負けるのが怖いの?」

「はあ⁉ オレがおまえなんかに負けるわけねえだろ。ふざけたこと言ってんじゃねえ!」

 怒りで顔を真っ赤にした中山くんが大声で怒鳴る。


「わかった。勝負くらいいくらでもしてやるよ」

「棚橋――」

 心配そうにわたしを止めようとする渡瀬くんの肩に、有沢くんがぽんっと手を置く。


「いーじゃん。棚橋がやりたいって言ってんだからさ」

「だが……」

 渡瀬くんが、戸惑った表情を浮かべる。


「棚橋も少しは練習する時間ほしいんじゃない? 勝負は今度の月曜ってことで、どう?」

「うん、わかった。それでいい」

「中山も、それでいいよな?」

「へーへー、了解」

「はいっ。ってことで、練習再開」

 パンッと有沢くんがひとつ大きく手を鳴らすと、こちらの状況を固唾をのんで見守っていたみんなが、金縛りが解けたかのように一斉に動き出した。