野球、やりませんか⁉

「は? オレに『練習に来るだけでいいから』って泣きついてきたの、どこのどいつだよ」

「それは……ごめんなさい。心にもないことを言ったわたしが間違ってた」

 頭を下げ謝罪すると、今度はキッと中山くんを睨みあげる。


「けどっ。これ以上みんなのことをバカにしたら、わたしが許さないから」

「はんっ。おまえが一番のバカだろ。こんなムチャクチャな勝負なんか受けてさ」

「それはわかってる。だから、わたしはなにを言われたって仕方ない。けど、どうしても中山くんがちゃんとやってくれないなら……」

 そこまで言ってから、ハッと気づいて続きの言葉を飲みこんだ。


 わたし今、なんて言おうとした……?


「『ちゃんとやってくれないなら』、なんだよ? 代わりにおまえがやるってか? ははっ、やればいーじゃん。けどなあ、さすがにおまえよりオレの方がマシだっつーの」

 中山くんが、堪えきれないって感じでお腹を抱えて笑いだした。


「ど素人の女子なんか人数合わせで出したら、さすがに相手チームは怒るだろうなあ。あー、腹いて」

「やめろ、中山! 棚橋は…………うちの大事なマネージャーだ」

 有沢くんが、中山くんを睨んだままぐっとくちびるをかむ。


 ……男子には敵わないから、野球はやめるって決めたんでしょ?

 もしわたしのせいで負けちゃったらどうするの?


 みんなの顔をぐるりと見回す。


 ここにいるのは、全員本気で野球がやりたくて集まったメンバーなんだ。

 こんなところにわたしが入ったって、ただの足手まといにしかならない。

 そんなこと、わかってる。


 でも……それでも……。