野球、やりませんか⁉

 けど、今度の相手は、さすがに直球だけで勝てるような相手じゃない。


 だから『もっと練習しなくちゃ』っていう有沢くんの気持ちもわかるよ?

 だけど、もし有沢くんになにかあったら、それこそ大問題だ。


「だったら、わたしも自主練に付き合う。っていうか、一人でやるのは禁止だよ」

「え……棚橋が毎日見張ってるってこと?」

「うん。有沢くんが、投げすぎないようにね」

「そんなことしなくても大丈夫だってー。俺だってちゃんと球数数えてやってるし」

「じゃあ、今日はここに来てから何球投げた?」

「あー……どう、だったかなー。十球くらい?」

 有沢くんが、すっと目をそらしながら答える。


「絶対ウソだ」

 ジト目でわたしが見ると、有沢くんが「わかったよ」と苦笑いしながら両手をあげて降参する。


「じゃあ、自主練の球数は明日渡瀬くんも一緒に考えるとして。……さっきは助けてくれてありがとね、有沢くん」

 有沢くんに改めてお礼を言うと、有沢くんがキョトンとした顔で首をかしげる。


「さっき?」

「ほらっ、みんなの空気がおかしくなりそうだったとき」

「ああ、あんときなー。けど別に、棚橋にお礼言われるようなこと全然してないし。だってさ、せっかくマネージャーがチャンスをつないでくれたんなら、俺らがちゃんとつながなきゃ意味ないし……って会話がすでに野球バカすぎだよね」

 有沢くんがテレたように、ははっと笑う。