野球、やりませんか⁉

 自分の分を貼りながら、気づかれないようにそっと有沢くんを見あげる。

 ぱっと見、そこまでがっしりした体格ではないけど、腕や肩回りにはやっぱりしっかりと筋肉がついている。


 ちらっと自分の腕を見て……はぁ、と小さくため息が出ちゃう。

 有沢くんのとは、やっぱり全然違う。

 いくら鍛えても、わたしはあんなふうにはなれないよ。


「え、あれっ。と、取れない」

 しっかりと刺さった画びょうが外せず苦労していると、「ちょっと、貸してみ」と目の前にたくましい腕がにゅっと伸びてきた。


 思わず「ひゃっ!」と出そうになった悲鳴を呑みこみ、一歩あとずさりする。


「なにこれ、固っ」

 有沢くんでもすぐには抜けず、カードの束を棚の上に置くと、改めて画びょうと対峙する。


 しばらく格闘した末、「ふふんっ。俺に勝てると思うなよ」とドヤ顔で引っこ抜いたばかりの画びょうをわたしに差しだした。


「ふっ、ははっ」

 その顔があまりにおかしくて、笑いが止まらなくなっちゃった。


「うわっ。ちょっと、ひどくない? 俺、めっちゃがんばったんだけど」

 むくれる有沢くんがまたかわいすぎる。


「だって……有沢くん、ふふっ、負けず嫌い……こんなとこで……あははっ」

「もう。いつまでも笑ってると、置いてくよ」

 ため息をひとつつくと、有沢くんは自分の作業をてきぱきと進めていく。


「わわっ、待って、待って」

 そんな有沢くんに置いていかれまいと、わたしも慌てて作業を再開した。