野球、やりませんか⁉

 ううん。真剣なだけじゃなく、全力で野球を楽しんでるっていうのが、全身から伝わってくるんだ。

 だから思わず目が離せなくなる。


 わたし、本当のイケメンっていうのは、ああいう人のことを言うんだと思う……って、なに考えてるの⁉


「あれっ、高畑は? たしかアイツも日直だったよな?」

 教室の前扉のところで突然声がして、ハッとして声の方を見ると、とっくに部活に行ったはずの有沢くんが、練習着姿で教室を覗いていた。


「あああ有沢くん⁉」


 突然の本人の登場に、思わず声がひっくり返り、あとずさりしようとして足が滑っておもいっきり尻もちをつく。

 それと同時に、手に持っていた自己紹介カードが紙吹雪のようにはらはらと宙を舞った。


「いったたたた……」

「いや、そんな驚かなくても。俺、幽霊じゃないし」

 苦笑いしながら有沢くんがわたしのところまで歩いてくる。


「大丈夫?」

「だ、大丈夫! 全然平気」

 慌てて立ちあがると、パパッとスカートについた汚れを払う。


「高畑くんは、早く部活に行かなくちゃいけないらしくって」

 そう言いながら、散らばった自己紹介カードを手早く拾っていく。


「そういう有沢くんは、どうしたの?」

「おっと、そうだった」

 なにかを思い出した様子で自分の机のところまで行くと、中をがさごそ漁る。