野球、やりませんか⁉

 どうすることもできないまま、中山くんの背中がどんどん小さくなっていく。


 どうしよう……わたしのせいだ。


「棚橋のせいじゃない」

 わたしの思考を読んだかのように、渡瀬くんが言う。


 でも、やっぱりわたしのひと言が引き金になったのは間違いない。

 他にもっとかけるべき言葉がきっとあったはずなのに。

 そんなこともできないなんて、マネージャー失格だ。


「だから、棚橋のせいじゃないって。で、これからどーする? セカンドなしじゃ守備練できなくない?」

 ノックに使っていたバット片手に、有沢くんがみんなに向かって言う。


「わ……」


『わたしが代わりにセカンドに入るよ』なんて言ったら、笑われちゃうかな。

 いや、むしろ怒られるかも。

 素人が簡単にできると思うな。野球をなめるな、って。


「そうだな。あとは軽くバッティング練習をして、今日は終わりにするか」

「おっ、いいねー。やろう、やろう、バッティング練習」

「おれ、いっちばーん!」

「はあ⁉ 八柳、勝手に決めんな」

「あのバット、一度使ってみたかったんだよなー」

「俺もだよ。俺に打たせろ」

 バッティング練習と聞いた瞬間、グラウンドに漂っていた重たい空気が一掃され、活気が戻る。


 やっぱりみんな好きだよね、バッティング練習。


 うん。わたしも、落ち込んでばかりいられないよ。


 パチパチと頬を叩いて気合を入れる。


 わたしはみんなのマネージャーなんだから。


 みんなのサポートをちゃんとしなくっちゃだよ。