野球、やりませんか⁉

 その後、ノックの交代をしながら、内野の連係プレイやバント処理、ベースカバーなど、ひとつひとつの動きを確認していく。


「悪い!」

「ドンマイ。次、確実にアウト取ろう!」


 ずっと一緒にやってきたメンバーとなら息の合った連携プレイができるんだろうなというところで、思わぬミスが出る。

 ほとんどのメンバーが初対面みたいなものなんだから、仕方ないってわかってはいるけど、なんだか見ていてもどかしい。


 特に、中山くん。


「今はファーストのベースカバーに入るところだ」

「セカンド、遅い! 今のはゲッツー取れたぞ」

「なにやってる! いつ球が来てもいいように常に準備しておけ」


「だー、もうマジムリ!」

 何度も注意され、耐えきれなくなった様子の中山くんが、バシンッ! とグローブを地面に叩きつける。


「渡瀬が人が足りねえっつーから入ってやってもいいとは言ったけどよ。こんなガチなヤツだとか聞いてないっつーの」

「だ、大丈夫だよ。みんなでカバーしあえばなんとかなる――」

「は? なら、おまえが見本見せてくれよ」

「え……」

 必死にフォローするわたしのことを、中山くんがギロリと睨みつける。


「オレのグローブ貸してやるよ。ほら、さっさとやってみせろって。みんなでカバーしあえばなんとかなるんだろ? ほらっ!」

 グローブを拾ってわたしのところまで大股で歩いてくると、ぐいっと押しつけてくる。


「いや、でも、わたしは……」

「できねえんだろ。だったら『なんとかなる』なんて適当なこと言うんじゃねーよ!」


 できない、わけじゃない。けど……。


「そんじゃ先に帰らせてもらいますわ、マネージャー様」

 黙りこんだままのわたしを鼻で笑うと、中山くんはわたしに背を向け歩きだした。