野球、やりませんか⁉

「今日は初日だから、このくらいにしておこうか」

 そのまましばらく続けたあと、渡瀬くんがあっさりピッチング練習の終了を告げた。


「えーっ、もっと投げたいんだけど。そうだマネージャー、ちょっとキャッチボール付き合ってよ」

「ムリムリ! あんな球、捕れるわけないってば」

 全力で首を横に振る。


「おい、マネージャーにケガさせるつもりか。おまえが今やるべきことはクールダウンだ。わかったな?」

 有沢くんに念押しすると、渡瀬くんは他のメンバーの守備練習の方へと加わった。


「だって! ほら有沢くん、ちゃんとクールダウンしなくちゃだよ」

「えーっ、ケチぃ」

 口を尖らせる有沢くんは、すっかりいつもののんびりとした雰囲気に戻っている。


 けど、今日の有沢くんは、グラウンドに来てからなんだかずーっといつもよりテンションが高いような気がする。


 そんな有沢くんを見ていたら、有沢くんのハイテンションが伝染したみたいに、わたしまでなんだかじっとしていられなくなってきちゃう。


 グローブを手にはめたときの感触、ニオイ、ボールがグローブに収まったときの感覚、バットでボールを弾き返したときの衝撃、音……全部が懐かしい。

 すぐそこに……手を伸ばせばすぐ届くところにあるのに……。


 思わず伸ばしそうになる両手を、胸の前できゅっと握りこむ。