野球、やりませんか⁉

 みんなは大希くんに会ったことがないわけだし、不安に思うのもしょうがないのかもだけど……。


「わたしね、実はこの前、有沢くんの弟に会ったの」

「え、羽瑠ちゃん、会ったんだ。で、どんなヤツだった?」

 八柳くんが、興味津々な様子でわたしにたずねる。


「暴力事件のウワサを聞いてたし、最初は正直ちょっと怖いなって思ったんだけど、これからの自分のこと、ちゃんと考えるって約束してくれたし、わたしも信じたいって思った」


 だって大希くんは、絶対に有沢くんのことが大好きなんだもん。

 だから、きっともう大丈夫だって、わたしも信じたい。


「多分今回のことで、一番許せないって思ってるのは、有沢くん本人だと思うの」

「そりゃあまあ、そうだろうなあ」

「それでも有沢くんは、弟の大希くんのことを許して、前に進もうとしてる。みんなも、野球がやりたくてここに来たんだよね? だったら、みんなが一番有沢くんの気持ちがわかると思うの。お願い。みんなで野球やろっ!」


 そのとき、一人の男子が静かに立ちあがった。

 他の子たちよりも小柄で、身長はわたしより少し高いくらい。

 たしか、土谷(つちや)睦巳(むつみ)くんだ。


「わかった。ぼくはやるよ」

「え、つっちーやんの? 今ので納得できたんだ」

 八柳くんが驚いた顔で、すぐ隣に立つ土谷くんにたずねる。